第73章 隻眼
『日本政府は、一体何を脅迫されたんです?』
「詳しくは自分も聞かされていませんが
国家機密の情報を世界に公表する、と…。
どうやら犯人は、情報収集衛星から電波を傍受し、機密情報を得たそうです。」
『衛星…、電波…、っ!!
なーるほど、その電波が傍受された位置情報が
長野県の未宝岳だったんですね。』
「!!やはり、あなたは侮れませんね…。
実は、この雪崩事故が起きた日付と、傍受された日付が同じ日なんです。」
『偶然とは思えませんね…。』
「はい…。鮫谷警部が殺害されたことで
犯人は我々が捜査していることにも気付いてるはずです。
なので早急に捕らえなければ、また犠牲者が出かねません。」
…確かに風見さんの言う通りだ。
犯人は、日本政府を脅すほどの危険人物…
このまま放っておいたら、どんな被害が起きるか分からない。
『話は理解しました。
それで…、私は何をすればいいですか?』
「若山さんには長野に行って
雪崩に遭った刑事を守って頂きたいのです。
犯人の顔を見たかもしれないので。」
『え…?でも、私今は一般人ですよ?
警察官を警護することなんて、できないんじゃ…』
「大丈夫です、今から警視庁に行きますから。」
『…はい?』
…それの何が大丈夫なの?
風見さんの意味不明な保障に疑問を抱きながら
とりあえず言われた通りに、私は風見さんの跡をついていき、警視庁に向かった。
数分歩くとすぐに到着し、建物の中へ入ると
いつもなら警察官がたくさんいるはずなのに
鮫谷警部が殺害されて、多くの人が出払っているからか、建物内は静けさがあった。
…しかし、庁内の入り口から少し歩いたところに
また見知った顔の人物が2人、佇んでいるのが見えた。
『蘭ちゃん…?コナンくんも…久しぶりだね。』
「「っ、え!?美緒さん!?!?」」
『ふふっ、2人とも元気そうだね。』
蘭「お久しぶりです!元気といえば元気なんですが…
その…」
『…もしかして、日比谷公園で起きた事件現場に
2人もいたの?』
蘭「え…!?どうしてそれを…!?」
…やっぱり。
鮫谷警部を殺害した犯人を見たかもしれないから
2人とも連れてこられたってところだろう。