第18章 収束
少しの間を置いて、狐面の彼が恐る恐る尋ねてきた。
「あの…大名は?」
「三代目から無事だと話があったよ。暗殺を企てていた人物も捕らえたと」
今聞いたことを伝えると、彼は大きく安堵の息を吐いた。
「はあ~。良かった!間に合わなかったらと、気が気じゃなかったですよ。急いだ分、疾風にも報酬を要求されるし…」
「はは、それは大変だったね。…この男の処遇は追って出される。君は三代目のところまで行ってくれ。この件は完了となったから」
任務完了の言葉に、彼は明るい声を上げた。
「そうですか!それなら安心しました。じゃあ、隊長。あと、よろしくお願いします」
「了解。あ、そうそう。僕ら休暇をもらえるようだよ」
そう付け加えると、彼は一度振り返り頷いた。そして、軽やかな足取りで部屋を出て行った。
(後は…)
情報部に状況を伝え、引き続きの監視を依頼する。
それから、赤の鳥面と対面し、当時の情報を聞き出してからこの件の報告書をまとめた。
クーデターの鎮圧から数え、優にふた月は過ぎていた。やっと本当の意味で、肩の荷が下りた気がする。
思えば二日程前に休んだところだったのに、随分と月日が過ぎたように感じた。