第18章 収束
僕たちは、姿勢を正して三代目に頭を下げた。
「暗殺を計画した側近は、既に捕らえられておる。後は、火の国の中で処分が下されるはずじゃ」
「では、この件については…」
「うむ。一旦収束したとみていいだろう。テンゾウ、今回の任務について報告書の作成を頼むぞ。それで完了としよう」
「はい。かしこまりました」
「皆、二日ほど休暇を与える。しばらく体を休めるといいじゃろう」
三代目からの休暇の言葉を聞き、束の間緊張が和らいだ。それぞれ顔を見合わせて、ふっと息を付く。
「ありがとうございます」
僕たちはもう一度三代目に頭を下げ、すぐさま執務室を後にした。
*
僕は執務室を出ると、隣にいた猿面に礼を言った。
「ありがとう。君の判断のおかげだ」
彼は、感謝の言葉に驚いていた。
「何をまた。当然の判断だろう。三日も監視していたら、誰でも気付くことだ。…それに、報告を頼んだ赤は足が速い。今回はたまたま上手くいったのさ」
赤は、赤い鳥の面。
彼は瞬身を得意とする。身体能力だけであれば、彼が一番の俊足だった。
「そうだね。彼にも礼を言っておくよ。だけど、もしも僕だったら…もう一日もう一日と先に延ばしたかもしれない。そう思ったんだ」
実際、彼の決断が遅れたら、ここまで迅速に事は進まなかっただろう。僕はもう一度彼に礼を言って、情報部へと向かった。
*
情報部には、黒の狐面が控えていた。
鉄格子の向こう側の人物を一心に見つめている。僕が近付くと、彼は弾かれたように振り向いた。
「隊長、今朝戻ったんですか?」
「ああ。三代目への報告、済まなかったね。あの男の様子は?」
捕らえた男は気を失っているのか、項垂れたまま椅子に座っている。
「緊急でしたので、居合わせた山中家の方にすぐお願いしました。術をかけてから気を失ったままなんです」
「そうか」