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明日晴れたら

第18章 収束



僕らが駆けに駆け、木ノ葉の正門にたどり着くころには、また一夜明けていた。

早朝、火影の執務室に赴くと、正面に三代目が僕らの到着を待っていたかのように椅子に掛けていた。その表情は険しい。

「皆、ご苦労だった」
「只今戻りました。三代目、早急に報告が…」
「よい。黒狐から報告を受けておる」
「火の国の大名に危険が迫っています。急ぎ警護の強化を」

息を整え、僕は伝えた。

すると、三代目は手元にあったキセルに火をつけた。表情は険しいものの、落ち着いた様子を見せている。

「案ずるな。もう手は打ってある。猿の判断か…赤鳥の報告があった。既に大名の身辺警護の強化をしておる。お前たちが捕らえた者から、危険人物の特定もな」

「では……」

「うむ。どうも火の国で大名の地位を狙う者が巣くっておったらしい。捕虜からの情報では、側近が雨隠れの里に暴動を起こすよう依頼をしたようじゃ」

僕たちは、各々顔を見合わせた。
そこまでは、首謀者本人から聞いた情報だ。

「そこまでは僕たちも確認済です。暗殺の決行は食い止められたのですか?」

僕は息を呑み、三代目に問いかけた。
三代目はこちらを一瞥した。キセルを口に含み、ゆっくりと煙を吐き出す。

「そう焦るな、テンゾウ。……結論から言うと、大名は無事じゃ」

「そうでしたか…」

僕は胸を撫でおろした。

もし間に合わず、毒物でも盛られたら一大事だ。最大の関心事が明らかになり、深く息を吐き出す。

「側近は、最善の機会を虎視眈々(こしたんたん)と狙っていたらしい。…小競り合いが起こると、しばらくは周囲も厳しく警戒する。だが、それもしばらく経つと警護も緩むものじゃ。その機を待っていたようでな」

「しかし、暴動が起こってから随分経ちますが……」
「そうじゃの。かなり慎重な人物だったのが幸いした」

三代目はキセルを置いて、僕たちの方を見た。

「皆、よくやってくれた。集団の殲滅(せんめつ)、情報伝達の速さしかり。おかげで今回の危機を乗り越えることが出来た。礼を言う」

一人一人に語りかけるように、彼はゆっくりとそう言った。
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