第16章 連想
「ナズナ先生、お久しぶりです!」
「よう」
サクラちゃんが溌剌(はつらつ)と、サスケ君が一言挨拶してきた。二人ともナルト君と同じように、服は土まみれだ。
「二人とも久しぶり。頑張ってるみたいだね」
そう伝えると、二人はお互いの服を見てから顔を見合わせた。
「当然だ」とサスケ君がふいと顔を逸らし、「もう、ナルトのせいよ!」とサクラちゃんが頬を膨らませる。
サクラちゃんは言い足りないのか、ズイとこちらに近付いてきた。
「ナズナ先生、聞いて下さいよ!ナルトの奴、サスケ君と、掘ったお芋の数を張り合って、周りにこれでもかって土をまき散らして…。だから、私たちまでこんなになったんですよ!」
お気に入りの服が土だらけになってしまい、彼女は大層ご立腹だった。ナルト君をキッと睨みつける。
「おかげで、泥だらけよ!」
「えー…でもでも。早く終わったしぃ…」
サクラちゃんの剣幕にナルト君はたじろいで、体を小さく縮ませている。
「フ、お前ら餓鬼か」
少し斜に構えて、そう言ったサスケ君も、見ると顔や髪の先に泥がついたままだった。
その澄ました様子が可笑しくて、顔を綻ばせながら前を向くと、カカシさんと目が合った。
「ま、今のところいい感じなんで」
「あ、ええ。安心しました」
何だか心の内を見透かされたようで、気恥ずかしかった。カカシさんが目元だけで微かに笑う。
「では、俺たちは報告をしてきますので。これで」
「ナズナ先生、またな!」
顔を上げたナルト君や、ぺこりと頭を下げるサクラちゃん、目だけで挨拶するサスケ君を見送る。私は、歩き出した彼らの背に声を掛けた。
「火影様は席を外されてますよ。側近の方にお願いします」
「了解」
カカシさんが振り向いて、片手を軽く上げた。