第14章 名前
一つ咳払いをして、話題を変える。
「…すみません。ところで先輩、任務は順調ですか?班員も決まって、活動を開始してると聞きましたけど」
「ん?ああ。何とかやってるよ。一筋縄ではいかない奴もいるけどね」
「へぇ。先輩が合格を出すくらいだ。見どころのある子ばかりかと思ってましたけど」
気を取り直して、まだ辛うじて温かい焼売に箸をつける。
「ま、面白いという意味では相当見どころはあるかもな」
「何ですか?それ」
「簡単に言うとだな。一人はうちは、もう一人はうずまき。それから春野っていう女の子」
「…うちはと、うずまき。二人とも相当な子じゃないですか。今年卒業ですか?」
うちは一族、うずまき一族。この二つの一族は、木ノ葉では有名な事件と関わりがある。僕は驚いて彼の顔を見た。
「ま、そういう訳でね。俺にお鉢が回ってきたみたいよ」
「それはまた……」
「別に今ここで言う必要もなかったけど、いずれ分かることだ。敢て隠し立てすることもないかと思ってね」
「そうでしたか」
凄惨な過去を持つ、二人の下忍を受け持っているのにも関わらず、先輩は事も無げにそう言ってお猪口の酒を飲み干した。
「お、これ旨いな」
先輩は、卵と木耳(きくらげ)の炒めものを口に運んでいる。
「で、お前は?」
「ああ。先輩から引き継いだ件は、目処が立ちましたよ。首謀者の特定が出来たんで、明日には状況が動くかと」
「そっか」
引き継いだ任務について、手短に進捗を伝えると、先輩は安堵したように息を吐いた。
抱えていたクーデターの一件。
捕らえた忍を日数をかけて尋問したことで、やっと雨隠れの里の首謀者が判明した。抹殺する任務は、明日二班で決行予定だった。既に出発した班がその人物の場所を特定しているはずだ。