第4章 個性把握テスト、戦闘訓練
初、個性を使った戦闘訓練の末路に、モニタールームは騒然としていた。
「負けた方がほぼ無傷で、勝った方が倒れてら…」
「勝負に負けて、試合に勝ったというところか」
「訓練だけど」
葉隠は、隣で無心に掌をモミモミしているエマを見た。
ショックだろうか、呆然と立ち尽くす爆豪の姿を、エマはまばたきもせずに見ていた。
それはどこか冷たい目で、というか美人の真顔こわ……
「まあつっても…今回のベストは飯田少年だけどな‼︎」
爆豪を回収した先生・オールマイトがモニタールームに帰還し、講評の時間が始まった。
「勝ったお茶子ちゃんか、緑谷ちゃんじゃないの?」
「何故だろうな〜〜?わかる人‼︎」
「ハイ、オールマイト先生」と黒髪ポニーテールの女生徒・八百万が挙手をした。
「爆豪さんの行動は、戦闘を見た限り私怨丸出しの独断。そして先程先生も仰っていた通り、屋内での大規模攻撃は愚策。緑谷さんも同様の理由ですね。
麗日さんは中盤の気の緩み、そして最後の攻撃が乱暴すぎたこと。ハリボテを核として扱っていたら、あんな危険な行為出来ませんわ。
相手への対策をこなし且つ、核の争奪をきちんと想定していたからこそ、飯田さんは最後対応に遅れた。
ヒーローチームの勝ちは『訓練』だという甘えから生じた反則のようなものですわ。」
一瞬の静寂。
先生として謎の敗北感に震えたオールマイトが、「まあ…正解だよ」とグッドサインを出した。
「常に下学上達!一意専心に励まねば、トップヒーローになどなれませんので!」
余談だが、この八百万百は、ヒーロー科で4人しかいない推薦入学者のひとりである。
爆豪、緑谷の一戦で大破した訓練場から場所を移し、第二戦ーー
ヒーロー
Bチーム:轟焦凍、障子目蔵
ヴィラン
Iチーム:葉隠透、尾白猿夫、癒守エマ
次回
『尾白猿夫、ハーレムを築く』
『轟焦凍、絶望の二択』
の2本でお送りします。お楽しみに!