第4章 個性把握テスト、戦闘訓練
「始めようか有精卵共‼︎戦闘訓練のお時間だ‼︎」
エマはグラウンドβに集合したクラスメイトたちを見回した。
葡萄頭の小柄な同級生・峰田と目が合うと、グッと親指でハンドサインを受けた。
「ヒーロー科、最高」
峰田は自分の低い身長を利用して、エマを下アングルから凝視していた。
エマは敵意が無さそうなので、疑問符を浮かべながらも放置していたが、見かねた常闇がすっと間に入った。
「狼の獣欲…」
「狼?」
「否、気にするな。」
エマは鳥類の顔立ちをした彼をじっと見つめた。嘴を触ってみたい好奇心を必死に抑えていた。
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか⁉︎」
ロボットアーマーに身を包んだ飯田がオールマイトに尋ねた。
「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での”対人戦闘訓練”さ‼︎」
曰く、敵組とヒーロー組に分かれた屋内戦で、コンビと対戦相手はくじで決定する。
状況設定は、敵がアジトに隠した核兵器を、ヒーローは処理しようとしている。
ヒーロー側の勝利条件は、敵を捕まえるか核兵器を回収すること。
敵側の勝利条件は、ヒーローを捕まえるか制限時間まで核兵器を守ること。
「先生、クラス21人なので1人余ります!」
「3人チームにはハンデを設ける。3人のうち1人はこの重りを装着する…10kg程度だ。そして更に!勝利条件は2人チームと同様、2人の捕縛!1人残ってても負けになるから注意だ。」
「なるほど…」
ーーー
そうしてくじ引きの結果、エマは葉隠・尾白と一緒にIチームに決定した。
爆豪と共にDチームになった飯田は、「あ?」とガンを飛ばされている。遠目でそれを目撃したエマは飯田に合掌をした。
「透ちゃん、尾白くん、よろしくね。」
「エマちゃんと一緒!心強い〜」
「よろしく。葉隠さん、癒守さん。」
峰田が「羨ましい、オイラと代われェ!」とドスドスと尾白を叩きながら騒ぐのをBGMに、エマはチームメイトと挨拶をした。
「続いて最初の対戦相手は、こいつらだ‼︎」
ヒーロー側、
Aコンビ:緑谷出久、麗日お茶子
敵側、
Dコンビ:爆豪勝己、飯田天哉
エマは、本日二度目の合掌をした。