第4章 個性把握テスト、戦闘訓練
”被服控除”
入学前に「個性届」「身体情報」を提出すると、学校専属のサポート会社がコスチュームを用意してくれる素敵なシステム!
要望を添付することで、便利で最新鋭のコスチュームが手に入る。
エマは21と書かれたケースを取り出し、コスチュームと初対面を果たす。
エマが届けた要望は、3点。
ひとつ、”個性”に必要な血液を保存する採血管、包帯や止血剤などの応急セットを持ち歩くポーチと、それを左脚に固定するベルトの類。
ふたつ、拳による打撃の衝撃を防ぎ、防御するためのグローブや手甲。
みっつ、治癒個性持ちだと周りから分かりやすいデザイン。
これは治療のいろはを教わった師の、『一目で医療人だと分かる服装は、現場でのコミュニケーションを円滑にし、周りの人を安心させられる』というアドバイスを取り入れた結果である。
デザインは思い付かなかったので、好きな洋服のブランド名を記載し、ついでに目や髪にあう寒色系で纏めて欲しいと伝えた。
ーー…のだが、
「なるほど、こうなるんだね…」
若干の後悔と、しかし秀逸で可愛い、自分好みのデザインに感服した。
「わあエマちゃん、それ可愛い…‼︎」
「お茶子ちゃんも、宇宙服みたいで可愛い」
エマのコスチュームは、ナース服っぽい白を基調に、部分的に十字架があしらわれている。
上は白のノースリーブで、白い肩と豊満なバストを強調していて、若干短いそれはお腹を見せている。
下のショートパンツは短く、ポーチを支えてるガーターと、ブーツについた殺傷能力の高そうなヒールが色っぽい。
年齢不相応なほどの色気を、ロイヤルブルーのマントがカバーしている。
「エマちゃん、めっちゃスタイル良い…!」
「三奈ちゃんもとても可愛い……、響香ちゃん?」
エマはじっ…と熱い視線を注ぐ耳郎を見る。その視線は顔とかではなく、胸元に集中していた。
「天は二物を与える…」
「与えず、じゃなくて?」
「そういうことじゃないと思うわ、エマちゃん」
「柔らか…」
透明人間・葉隠が、いつの間にかエマの正面に立ち、どこにとは言わないが顔を埋めていた。
「あら。」
「葉隠さん、はしたないですわ!」
女子更衣室は、とても賑やかだった。