第4章 個性把握テスト、戦闘訓練
初日終了、下校時間ーー…
「疲れた…‼︎」
緑谷は、あの後リカバリーガールの治癒を受けた。
彼女の個性は、患者側の体力を消耗して治癒力を活性化させる。
ので、治ったもののどっと疲れが襲ってきていた。
「しかし相澤先生にはやられたよ。俺は『これが最高峰!』とか思ってしまった!」
緑谷は、入試で一緒だった飯田と、幼馴染のエマと一緒に帰路についていた。
「教師がウソで鼓舞するとは…」
「あれは本気だったと思うよ。きっと途中で気が変わったんじゃないかな」
真剣に考え込む飯田に、緑谷は第一印象を改めていた。
飯田くん、怖い人かと思ってたけど真面目なだけなんだ…。
「おーい!御三方さーん!」
「駅まで?待ってー!」と叫びながら、麗日が駆けてきた。
「君は∞女子」
「麗日お茶子です!えっと飯田天哉くんに、緑谷…デクくん!だよね‼︎」
「デク⁉︎」
「え?だってテストの時爆豪って人が『デクてめぇー‼︎』って」
「あの…本名は出久(いずく)で…デクはかっちゃんがバカにして…」
「蔑称か」
「えーそうなんだ、ごめん‼︎」
そう謝罪した麗日は、そのままファイティングポーズでうららかに笑って言った。
「でも『デク』って…『頑張れ‼︎』って感じで、なんか好きだ私」
「デクです」
当然、女子に免疫のない緑谷は即堕ちた。
「緑谷くん‼︎」
「なら、私もデクって呼ぼうかな」
「浅いぞ、蔑称なんだろ⁉︎」
「コペルニクス的転回…」
「コペ?」
中学時代、無個性でヒーローを目指していることを周囲は嘲笑った。
出来ないことだらけだし頑張らなきゃいけない。
けれどオールマイト、友達が出来たことくらいは、喜んでいいですよね。