第5章 しみずくん
「ほんと、雅哉くんが羨ましい」
「え?」
「毎日、四六時中。永宮さんと居れて」
たまに清水くんは怖くなる。なんか関わっちゃいけない人みたいな雰囲気が出る。なんて返したらいいか分からなくて、話を変えてみる。
「ずっと思ってたんだけど、永宮さん呼び堅苦しいから名前で呼んでよ!」
「早織さん」
「うっ」
「僕も早織さんに名前で呼んで欲しいな」
何故か分からないけど急に恥ずかしい。
「はやくー」
「りょうたくん。でいい?」
本当に恥ずかしい。こんなのもう呼べないきがする。いつもと違うから変な感じ。
「名前呼びは僕の前だけにしてね。みんながいるところでしちゃだめ」
「なんでよ」
「なんか秘密の関係って感じがするから」
やっぱり清水くんは変わってる。それとも、男子みんなそんなもんなのかな。私が知らないだけ?
「だから早織さんも、名前呼びは2人の時だけね」
清水くんは約束だよと笑う。
「わかった。そうするね」
ふたりだけの秘密ができて、少し嬉しくなった。