第5章 しみずくん
「おじゃまします」
「ごめんね、あんまり綺麗じゃなくて。適当に座ってて」
そんなことを言うけど、実際はすごい綺麗な部屋。無駄なものは何もなくてシンプルって感じ。
「いいね。一人暮らし」
一人暮らし。きっと私には無縁な言葉。清水くんのお家に来て、やっぱりいいなって思ってしまう。自由だし、誰にも縛られないから。
「卒業したらしないの?」
「うん。そこそこ遠いから家は出るんだけど………」
言っていいのか分からなくて黙り込んでしまう。こんなの絶対おかしいし、なんて言われるかわからない。
「………雅哉くんと暮らすの?」
「そう。雅哉と2人で暮らすんだー」
笑って誤魔化してみる。清水くんは何も言わないまま。やっぱりこんなのおかしいよね?
「やっぱりさ、雅哉くんは永宮さんに固執してる。異常だよ」
私も、頭ではわかってた。でもそこまで私に執着する理由は分からない。
「すごく心配。何か変なことされてるんじゃないかって」
思わずどきっとした。清水くんはたまに確信の着いたことを言ってくる。なんで分かるんだろう。
「そんな心配されるような事はされてないから安心して?」
「ならいいけど………」
そんな事を言ってるけど、清水くんは納得いってないみたいな顔をする。
「そうだ、ご飯にする?」
「うん。お腹すいちゃった」
清水くんはキッチンへ向かった。私も何もしない訳にもかないから手伝うことにする。
「待って、制服のままはだめだ。汚れちゃう」
「あ、たしかに」
全然そんなこと考えてなかった。
「これ、僕の服だけどあっちで着替えてきな?」
「ありがとう」
軽い気持ちで受け取ってしまった。
***
「着替えた!服ありがとう」
リビングに戻ると、清水くんもラフなスウェット姿に変わってた。
「…………渡したズボン履かなかったの?」
「うん。ズボン大きくて地面と擦れちゃうから服だけでもいけるかなーって思っちゃった 」
余裕でふともも位まである服。ワンピースみたいな感じになってる。