第1章 仮面を被った悪魔
「だめ…………っ」
「知ってる?お母さん、明日帰ってくるんだって」
そう言いながら手首をネクタイで縛る。私は身動きが取れなくなってしまう。
「何が言いたいかわかる?」
私は黙りこくってしまう。威圧感に耐えきれなくて目を合わせられない。
制服のボタンを一つずつ、外していく。スカートの下から手が入り込んで太ももをゆるく撫でられる。
その仕草に私は震えが止まらない。
「俺が怖い?」
そう言って雅哉は妖艶に笑う。私は息を飲んだ。胸の奥がじりじり傷んで何かが溢れる。
怖いよ。すごく。じわりと涙が滲む。大きな声を上げて泣かないように唇を強く噛む。
「ははっ。俺さあ、お前のその顔死ぬほど好き」
そう。こうやって私を苦しめて楽しんでる。泣いたら雅哉の思うつぼってことくらい痛いほど分かってるのに、涙は止まらない。
「っ………うぅ!……ぐっ、うううぅ」
みっともない。情けない。こんな自分が嫌になる。泣き顔を見られたくなくで隠したいけど、拘束された手ではそれは叶わない。
「あーあ。そうやって早織はすぐわんわん泣いちゃうんだね」
「全部っ…………、雅哉の、せい、だもん…………っ!!」
「違うよ。全部ぜんぶお前のせいだよ。俺を怒らせたのは早織でしょ?」
背中に腕が回されて、ぷつんっとホックが外れる音がした。途端に胸の締め付けが無くなって、擦れて身をよじる。
ブラだけが上にずらされて、キャミソールの下から胸に指先が触れた。
いつもそうだ。服を完全に脱がさないで行為に移る。もし、親が帰ってきても直ぐに身だしなみを整えられるように。
「早織はここカリカリされるの好きだもんね?」
「好き、なんかじゃ………あっ、ぁ、」