第3章 犯した過ち
終わって残ったのは虚しさと後悔だけ。あの後は、“次の時“の為にに連絡先を交換した。次なんてもう二度と来ないのに。
何よりゾッとしたのは雅哉からの無数の不在着信とメッセージ。
ホテルを出る頃初めてスマホを見たから気づかなかった。家に帰ったらどんな顔をしたらいいのかわからない。
日も暮れて、暗い。こんな遅く帰るのは初めてかもしれない。多分皆にとってはふつう。私がおかしいんだと思う。
とほとぼ帰路を歩く。犯してしまったことは変えられない。ずっと胸に残って罪悪感が増す。早く忘れたい。そんなことばかり考えていた。家に帰るまでの道のりが億劫で仕方ない。
「ただいま」
やっとの思いで家に着くと、お母さんの靴もお父さんの靴も見当たらない。今日も仕事が長引いて遅いみたいだった。
「おせーよ。こんな時間まで何してたわけ」
リビングから出てきたのは、雅哉だった。すっごく機嫌が悪い。このままだと私、殺されるかもしれないと思った。
「友達と、遊んでたの」
「ふーん………ほんとにそれだけ?」
冷や汗が伝う。どこか息苦しささえも感じる。雅哉には全部見透かされてるのかもしれない。なんとかして誤魔化さないと。
「そう、だよ」
雅哉は何も言わずに私を疑うように見つめる。私は知らないフリをして靴を脱ぎ、玄関を上がってリビングに向かう。後を追って雅哉もリビングに入ってきて、2人きりの気まずい空気が部屋を包む。