第3章 犯した過ち
「俺とセックスすんの、こわいの?正座してるけど」
「あ、の、こういうの、初めてでよくわかんなくて、」
ホテルについてチェックインを済ませた。
部屋に入ってすぐにベッドに連れてかれて。今は向かい合って座っている。
身体が変に力が入ってしまう。いまから雅哉以外の男の人に身体を見られるんだって思ったら恥ずかしくて。
「まずはキスしよっか」
「え、んぅっ」
気づいたら私の両肩を手で掴まれてて、一気に距離が短くなる。ふわりと彼の匂いがして、唇が触れた。
優しくて、暖かくて、涙が出そうになるのはなんでなの?雅哉と違って荒々しくないのに。
____雅哉と違って?
「俺のことだけ考えてて。今は、あいつのこと忘れて」
考えてなんかないよ。あなたと比べてただけ。雅哉の方が強引で、荒々しいの。でも、脳が溶かされるみたいに気持ちよくて。
目の前の彼とどうしても重ねてしまう。雅哉のキスを思い出して、気持ちよくなっちゃうのはどうして?
「やっぱキス慣れてんね。お兄ちゃんに調教されてんの?」
「ちがっ、調教なんかされてない……!」
「図星じゃん。されてんだね。キスとか、身体も触られたでしょ」
やめて。思い出しちゃうから。手つきとか、言葉とか。シトラスみたいな匂いだとか。対照的に颯太くんは、甘ったるくて脳が麻痺しちゃいそうな匂い。全然違うのに、なんでこんなに………
「………………、」
「黙り込んじゃってさ。まあいいや、お兄ちゃんの時よりもっと気持ちよくしてあげる」
私、ほんとにこの人とえっちしちゃう。なぜか少しだけ、ドキドキしている私がいた。その正体はなんなのかわからない。
緊張?恐怖?期待?全部が入り交じって、よくわかんないの。
「うん、気持ちよくして欲しいっ…………」
今だけは忘れるの。もう、忘れたいの。雅哉にいじめられてたこともぜんぶ。かき消して欲しいの。
「いいよ。何も考えられなくなるくらいね?」