第3章 守る決意
杏(この子は恐らく大事に育てられたのだな。一刻でも早く彼女の価値観を変えなければ。)
そう思って顔を離そうとした時、つむぎが耐え切れずにぎゅっと瞼を閉じる。
杏「………………………………。」
きゅうっと眉尻を下げたつむぎを見た杏寿郎は、感じた事のない欲がむくむくっと大きくなったのを感じた。
杏(隙だらけにも程があるだろう…。)
最初はそう思った。
だが、『きちんと抵抗できるのだろうか。』という考えがよぎると、少しずつ顔を近付けていった。
もちろん、つむぎが嫌がればすぐ止めるつもりだった。
それなのに、肝心のつむぎは目を開かない。
杏「………………………………。」
杏寿郎は唇が触れ合うぎりぎり手前でピタリと止まった。