第3章 守る決意
杏(心当たりがない、か。俺にも頭を撫でさせていたな。軽々しく体に触れさせて良いとは思えないのだが。)
そう思うと杏寿郎は膝立ちになり、肩を跳ねさせるつむぎの目の前に腰を下ろした。
杏(女性が隙だらけにしているとどうなるのか、知ればこの子は自衛してくれるだろうか。)
杏寿郎は少し首を傾げてつむぎを見つめ、そしてスパンと何かを決断した。
(…へ…っ!?)
つむぎは杏寿郎が観察するような瞳で顔を近付けてきた事に動揺した。
(え、これはどういう…、)
容姿に恵まれていたつむぎであったが、過保護な父と兄を持っていたが為に手を出された事はもちろん、言い寄られた事もなかった。
杏寿郎はつむぎが煽るような赤い顔をしているのを見て、この段階に持ち込まれた時点で手遅れだと判断した。