第3章 守る決意
長「じゃあ、二人共元気でな!!」
長谷川はつむぎといなさについて一通り話し終えると、少し名残惜しそうに手を振った。
それに応えてつむぎも頭を下げ、別れの挨拶なのだと悟った杏寿郎も頭を下げた。
杏「お疲れ様でした!!」
「はい!長谷川さんもお元気で!」
———
「さて…、」
つむぎは長谷川を見送ると隣の杏寿郎を見上げた。
そして、胸ポケットから懐紙を取り出して杏寿郎に渡す。
杏「………なるほど。これは困ったな。」
杏寿郎は口にした通り、困ったように眉尻を下げた。
どれを見ても文字で埋め尽くされていたからだ。
つむぎの顔に視線を戻すと、許しを乞う子供のような笑みを浮かべている。
『……なくなっちゃった。』
つむぎは伝わるか分からなかったが、口を大きく動かしてそう伝えてみた。
すると思いの外、杏寿郎はすぐに頷いた。