第1章 始まり
ひ「今現在みなさまは一番下の癸でございます。」
(私もいつか……、)
そう思いながらぎゅっと握り拳を作ると視線を上げた。
に「本日、刀を作る鋼、玉鋼を選んで頂きますが、刀が出来上がるまで十日から十五日かかります。」
ひ「その前に、」
———パンパン
ひなきが手を叩くと空から人数分の鴉が舞い降りて来る。
それが何かを知らなかった少年と少女は思わず手で頭を覆ってしまった。
煉󠄁「大丈夫だ!悪さをするような鴉ではない!こう腕を上げて止まらせてあげてくれ!」
少年「は、はい…。」
少年と少女が恐る恐る腕を上げると鴉は行儀良く止まった。
それと共に『わあ!』という声が上がる。
(…………仲、いいな…。)
つむぎが鴉を腕に乗せながらぼんやりとそちらを見ていると、金と赤の瞳と目が合った。