第1章 始まり
(……あれだけ…?……お父様が脅かして言ったんだと思ってたけど、本当に合格者って少ないんだ…。)
視線の先の拓けた場には三人の剣士しかいない。
(ゆっくり来たから多分わたしが最後だろうな…。しかも…、)
会話の内容から察するに、合格者の内の二人はどうやら自力で生き残った訳ではないようだった。
(盗み聞きしてるようで居心地悪いけど、周りが静かだから会話が丸聞こえ…。)
そんな事を思いながらちらりと視線を向ける。
(やっぱり煉󠄁獄家のご子息は生き残ったんだ。…当たり前か……。)
金と赤の髪を携えた "名門・煉󠄁獄家" の少年は二人の仲間と話していた。
自力で生き残ったのは勿論、こちらの少年だ。
少年は終始朗らかな笑顔を浮かべていたが、他の二人がこれからの意気込みを語るとほんの少し眉尻を下げた。
「………………………………。」
その違和感が印象的だった。