第9章 (※)依存
「ふ、ゔっ」
杏寿郎が舌を浅く抜く度につむぎの苦しそうな息が漏れる。
杏寿郎は薄く目を開けると、涙を滲ませて重い愛情を乗せた口付けを受け入れようとしているつむぎを見つめた。
杏(……だが、まだ足りない。もっと…、もっと……、)
杏寿郎が後頭部に指を差し入れて更に深く舌を入れると、何とか耐えていたつむぎがとうとう杏寿郎の胸を叩いた。
(い、いきっ、できな、)
そうして抵抗されると杏寿郎の悪い一面が顔を出してしまう。
杏(…欲しい。どうしてもつむぎが欲しい。もっと、俺が居なくては生きて行けない程にどろどろに溶かして…、)
そう思いながら数回舌を絡めてハッとした。
つむぎの反応が妙になっていたのだ。
ぎょっとして顔を離すとつむぎは酸欠で朦朧としていた。