第5章 ※逆鱗
「ごめん……ごめんなさい…。甘露寺さんが…可愛くて、わたし…二人がお似合いだと思って嫉妬したの…。勝手に卑屈になって…そうしたら……部屋に、いられなくなって……、」
杏寿郎はそれを聞くと、涙を滲ませるつむぎを再びきつく抱き締めた。
杏「女性の弟子を取ったと事前に話していれば良かったな。そうしたら君も動揺しなかったかもしれない。そうしたら…、」
その先を言えずに言葉を飲み込んだ。
つむぎは杏寿郎が何を思ったのかを悟ると、体を離して眉尻下がる顔を見上げた。
「杏寿郎くん、一回抜いて。嫌だからじゃないよ。見せたいものがあるの。」
杏寿郎はつむぎの真っ直ぐな瞳を見て頷いた。
そしてずるりと昂りを引き抜く。
その先は鮮血で赤く濡れていた。
杏寿郎は目を見開くとつむぎの肩をガッと掴んだ。
杏「君、無事だったのか!!!」
「うん………何度か言ったけど……。」
そう困ったように言うつむぎを見て杏寿郎は肩を掴む手に力を込めた。