第5章 ※逆鱗
男「気にすんな。それよりお前の髪綺麗だよな。切った端からこの色に染まるのか?」
つむぎはその問いに答えず呼吸を整えようと試みた。
が、それに気が付いた男が再び口と鼻を完全に覆ってしまう。
男「なあ、初めてって訳でもないんだろ。減るもんじゃねぇんだからさ…、一度だけ、頼む。」
つむぎは首を横に振って拒絶した。
しかし、つむぎの抵抗など随分と前からゼロに等しい。
男はつむぎをベッドに押し倒すと、隊服とシャツのボタンを外し、その何の跡もついていない白い肩に口付け、噛み付き、杏寿郎が守ってきたものを壊していった。
(杏寿郎くん…っ、杏寿郎くん…っ!!)
———コンコンッ
つむぎが心の中で杏寿郎を呼んだその時、丁度戸をノックする音が響いた。
男は固まり、喉をごくりと鳴らす。
その戸の向こうにいる人物に心当たりがあったからだ。
し「入りますよー。」
戸をガラッと開けたしのぶは男がしている事を見て額に青筋を浮かべた。