第5章 ※逆鱗
男「う、嘘なんて言わねーよ。他の仲間も言ってたぜ。お前がいなきゃ勝てなかったかもって。お前すぐ帰っちゃうから何も礼を言えなくてさ。」
「あ、うん、ちょっと急いでたんだ…。」
そう杏寿郎を思い出して気まずく思った時、不吉にもつむぎの髪紐が切れてしまった。
高く結った髪がさらりと落ち、つむぎと男は髪紐がどこへ落ちたのかと自然と探した。
しかしなかなか見当たらない。
「…別に大事な物でもないけど……。」
つむぎがそう呟くと、男は一つの戸を指差した。
男「髪を結べそうな紐ならあるぜ。髪の毛長いし邪魔だろ。やるよ。」
「…いいの?」
つむぎはそう言いながら、外で待っていれば良かったのに、のこのこと部屋の中までついて行ってしまったのだった。
蜜(…………あれって…、)
蜜璃はつむぎが部屋に入った後にその廊下へやって来た。
そして、つむぎが付けていた髪紐を見付けた。
蜜(ここに髪紐だけが落ちているという事は…!!)
蜜璃は『むむむ』と眉を寄せる。
蜜(さっぱりわからないわ!とりあえず報告しなきゃ!!)
そうして蜜璃はすぐにその場を離れてしまった。