第4章 告げる
「杏寿郎くん…あの、私ちゃんと」
杏「君には無理だ。任せてくれ。」
杏寿郎はそう言うと、少しムッとした表情になったつむぎの手首を掴んで自身の背に隠した。
杏「俺はこの子の事を二年も前から見てきた。俺が大事に守ってきたんだ。本当はまだあと一年見守る予定だったのだが、君が手出ししたのでな…少し早く俺のものになってもらった。」
「一年は自衛だったと思うけど。」
杏「君は黙っていてくれ。」
深「………………………………。」
深澤は杏寿郎の言った内容よりも、つむぎの心許した様子を見て戦意喪失してしまった。
深「……戦っている時の凛とした雰囲気と、僕と話している時のふわふわとした女の子らしい雰囲気との違いを好ましく思ったんだ…。でも…、」
そう言って拗ねて眉を寄せるつむぎを見つめる。
するとつむぎはギクッと体を揺らした。
杏「ふわふわ…?君、猫被りしていたのか。」
「そういう事なので!失礼します!!」
つむぎはそう言うと深澤にリボンを押し付け、杏寿郎の手を掴んでそそくさとその場を後にした。
そうして結局、振りに行ったのか、振られたのか微妙になってしまったが、無事リボンを返すことが出来たのだった。