第4章 告げる
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「あ、あの……、これ、お返しします。」
深「え…?」
つむぎは呉服屋の店先で深澤という男にリボンを差し出した。
プレゼントした時はとても喜ばれた為に、深澤は困惑してリボンを受け取らなかった。
深「つむぎさんを想って贈ったものです。迷惑でなければ取っておいて下さい。」
「めい、わく…というか……、」
そんなやり取りを杏寿郎は物陰から見守っていた。
杏(ふむ。特別悪い男ではなさそうだが…、)
そう思いながら先程までリボンが入っていた胸ポケットに目をやる。
杏(…それでも、わざわざ髪飾りに香を付けて渡す男だ。独占欲が強いに決まっている。きちんと縁を切らねばややこしい事になるだろう。)
改めてそう思うと、はっきりと断れないつむぎに不安を覚えながら姿を現した。
杏「俺が迷惑している。すまないがつむぎとはこれっきりにしてくれ。」
深「……同業者の方ですか…。」
深澤は突然現れた杏寿郎に眉を寄せた。