第4章 告げる
杏「はは、見事に噛んだな!愛らしかったぞ!!」
「あい、らしい…?」
つむぎが赤い顔を両手で隠して呟くと、杏寿郎はおかしそうに笑った。
杏「ああ、君は出会った時からずっと愛らしかった!!なんと言っても一目惚れだからな!君の頭のてっぺんから足の先まで好ましく思っている!!勿論性格も好きだぞ!少々頑固なところもあるが、頑張り屋で褒められると目がきらきらとする所なんか誰にも見せたくないくらいだ!!悪戯めいた笑顔も好きだな!騙されてやりたくなってしまう!!それから、」
「あ、ありがとうっ!今はそこまでで大丈夫!!」
つむぎは真っ赤になって杏寿郎の口を塞いだ。
「よ、よく今まで黙ってたね…。」
そう言われると杏寿郎はつむぎの手を退かした。
杏「言ったろう。君にはまだ早いと思っていたんだ。」
「あ…、あのやたらと『早い早い』言ってたのってそういう意味だったんだ…。」
つむぎは改めて杏寿郎が二年も前から自身をそういった目で見ていた事を知り、こそばゆく思いながら腕を引っ込めた。