第1章 出会い
知り合いに紹介されたパチンコ屋で働き始めて2ヶ月。
時給がいいからと働き始めたが、連日の騒音とタバコ臭さでそろそろ体がやられそうだ。
この店には毎週火曜日と週末、決まって来る客がいる。
見た感じだと学生のようだが、綺麗な赤髪で背が高く、非常に目立つのだ。
ウィン。
「〜♪」
ああ、噂をすれば。
…そういえば今日は火曜日だっけ。
火曜日は新台入替の日。
例の赤髪が嬉しそうに新台目掛けて歩いていく。
世の中暇な人が多いんだなぁと考えながら床をはく。
しばらく作業をしていると、ズキズキと頭が痛んできた。
騒音で耳と頭がやられ、ついにガタが来てしまったのだ。
少しでも静かなところで休みたい…。そんなことを考えながら、トイレの前で少し休憩することにした。
「…やっぱ向いてないかな…」
そう呟き、スマホを取りだし求人サイトを検索する。
「どこも時給がなぁ…」
求人サイトを見て時給がいいバイトに応募したことは何回かあるが、毎度楽して稼げる仕事なんて無いのだと痛感させられる。
バイト選びの基準って何なんだ…。お金は稼ぎたいしな…。
『アレ?おね〜さん、サボり?』
突然声をかけられ顔を上げると、例の赤髪が立っていた。
「えっ…あ、すみません」
『おね〜さん…ってかお嬢さん、バイト中に隠れてスマホかァ?…って、なんか顔色悪ぃな?』
「や、大丈夫です!…あ、お手洗いならこっち!です!どうぞ!」
急に顔を覗き込まれた驚きと恥ずかしさでしどろもどろになりながら店内に戻ろうと立ち上がった。
…つもりだった。
「あ」