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色んな彼図鑑

第4章 ヒロトとチハル


「こんにちはななさん、2週間ぶりだね」
「こんにちは、すみません・・待たせちゃいましたか?」
「5分前に着いたから全然だよ」
声のトーン、スピード。彼の言葉はとても心地よい。
周り声、車の音、いろんな音が聞こえてくるが彼の声はそんな音の中でもクリアに聞こえた気がした

ドアと開けるとカランカランと鈴の音がした
やや低めの鈴の音の後にはコーヒーの香りがやってくる
「わぁ・・素敵な喫茶店ですね」
駅前で待ち合わせた後、昼食もかねてヒロトオススメの喫茶店に来た。
暗い茶色とベージュでまとめられた店内は落ち着いていてジャズが聞こえてくる。カウンターの向こうのマスターらしき40代くらいの男性はギャルソンがとても似合う。
「やぁ、ヒロトくん。いらっしゃい。お友達かな?」
「こんにちはマスター。前に話した烏戸先生の」
「あぁ、その子か。初めまして、ここのマスターのヒロトだ」
どうやら2人の間で私の話をしていたらしい。恥ずかしいようななんとも言い難い気分だが、マスターの優しい雰囲気にそんな気分も一瞬で消えてしまう
「こ、こんにちは!ななといいます。えと・・おんなじ名前なんですね」
「それがきっかけでマスターと仲良くなって。けど、それだけじゃなくて、ここのコーヒーゼリーがすごく美味しくてね」
「同じなのは名前だけじゃないみたいでね、どうやら誕生日も同じらしいんだよ。世の中は面白いね。・・・さて、ご注文をお伺いしましょうか?」

喫茶店に入って気づけば2時間経っていた。2人とヒロトと小説の話、好きなスイーツの話、様々な話で盛り上がった。
店を出るのが嫌になるくらいに私もこの店のファンになってしまったようだ。
「じゃあ、マスター僕たちそろそろ行くよ」
「あぁ。今日はありがとう。またいつでも来てくれ」
「ありがとうございました」
店をあとにする。口の中、目の奥・・いろいろなところに店の余韻が残っている。
「この後なんだけど、実は美術館に行こうと思うんだ。ななさんは絵画は好き?」
「はい。ただ・・あんまり詳しくはないんですよね・・」
「大丈夫だよ僕も詳しくはないから」

美術館で絵画を見て、本屋さんでオススメの小説をプレゼンし合って、映画を見に行って・・・
青空はいつの間にか夜空に代わり月が佇んでいた。
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