• テキストサイズ

【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第5章 「元整備士」×「ポルシェ356A」



「……それ、答え必要ですか?」
「いいや、ただこちらとしては前向きに考えてくれると助かるな。でないと困るんでね」

赤井さんはハンドルを左に切りながらまるで予想していた回答通りだと言わんばかりに鼻で笑った。
再び視線を窓の外へと向ける。高速に乗らず、公道を走っていることからここから行先はすぐ近くなのだと推測がつく。

「私のいない間、家ってどうなるんですかね」
「いずれ居場所は特定される。どっちらにせよ時間の問題だ。」
「………言っておきますが、家に設計図も説明書もないですよ。庭で燃やしたので」
「…随分と大胆なことをするんだな?」
「家になければ、あの殺人鬼たちも家には興味ないでしょ。余計な手間がお互いはぶけてwin-winです。」
「では、設計図はこの国のどこかに?」
「異国のFBI(スパイ)に教えると思う?」
「………では、君の口から教えてもらえるように頑張るとするよ」

区切りよく会話が終え、置いてあったコーヒー缶の中に吸い終わったタバコを捨て、また新しいタバコへ手を付けようとアームレストの下からタバコの入った箱を取り出し器用に片手で蓋を開けるとそのうちを一本を押し出すとなぜかそれを私に差し出した。

「吸ってみるか?」
「私、一週間前まで私集中治療室にいたんですよね?」

やっぱり、ニコチン中毒者の行動は世界共通で理解できない。

「さっきからずっとちらちら見られて、こちらも吸いにくいのでな。てっきり吸いたいのかと」
「うそ」

本音がポロリと、口から出た。助手席から窓の外を見ていたつもりが無意識でそんなことをしていたなんて。最初は何を馬鹿なことを言い出すかと思えば、その一言で口ごもり思わず口を手で覆った。

「何か煙草に未練でも?」
「…いえ、そういうわけでは」
「好きか嫌いかは、はっきりさせた方がいいぞ。なに、一回吸うだけで依存するということはない。吸えば分かる。」

それ、優しそうに言ってるけど完全に麻薬の密売人が使う言葉第4位の犯罪者のセリフ。

助けてもらった恩人に向ける目ではないのは十分承知だが、それを分かっていたとしても白い目を向け断固として受け取らない私に赤井さんも飽きれはてたのか、グッと唇にタバコを押し付けられ挙句の果てに突っ込まれる。

自由の国って怖い。
/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp