【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第3章 「元整備士」×「スバル360」
「そろそろ、帰ろうかな。こんなところで油売ってるの見つかったら上司に怒られちゃうし」
「あ、ごめんなさいお仕事中に私達すごい引き止めちゃって」
「ううん、久々に人と話せてすごく嬉しかったよ。梓さんも安室さんもごちそうさまです。久々の外食ですごく美味しかったです」
「それは良かったです! またいらしてくださいね」
「ええ、必ず」
そう言って、ポアロと書かれたドアを引くとカランカランッという音の中、誰かが私の名前を呼んだ気がした。
振り返るとすぐ後ろに立っていた沖矢さんが口を開く。
「最近、何かいつもと違うこととか。起こったりしてませんか?」
その沖矢さんの問いかけになぜか反応した安室くんとコナンくん。いつもと違う? しいて言うなら今だけど、多分そう言うことではない気がする。身に覚えがなく「例えば?」と問い返せば沖矢さんは言う。
「例えば、誰かに後をつけられていたりとか」
「ないですよ。周りの人、皆いい人です。沖矢さんもカッコイイんですからストーカーされないように気をつけて下さい。今日はありがとうございました。では、」
そう言い捨てて私はポアロのドアを閉めた。
〝『 、これは誰にも言ってはいけないよ。お父さんとお母さんとの約束だ。でももし、見つかったら――――――』〟
ポアロを出た後、バイクの停めてある所まで歩いていると、なぜか中学生だった頃父に言われたあの言葉を不意に思い出した。
「………大丈夫、お父さん。犯人は、必ず私が見つけるから。絶対に、守るから。」
私はサイドのポッケからグローブを取り出して身に付けると少し歩いた先の路肩に停めていたバイクにいつもより強めにキーを差し込んだ。
翌日、いつの間に無くなった警察手帳のことを降谷くんに伝えれば、また電話越しに彼の怒鳴り声が音割れて家中に響いたのだった。