【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
「じゃあ念の為近くで車で待機していればいいですか?」
「そうだな、念の為だ」
書類と配布されたタブレットを持って私は会議室を出た。
配布されたタブレットの電源を入れながら廊下を歩く。内密である情報を避けるためかわざわざ手元のスマホでサッと確認できないのがデメリット過ぎる。
配布するタブレットにお金をかけるより、もっとお金をかけるべきところがあるんじゃないかとそんなことを考えながら歩いているとドンッ、と肩がぶつかり手に持っていたタブレットの落ちる音が廊下に響いた。
「やだ! ごめんなさい、私話に夢中になってて……」
「いえ、私も考え事で、すみません」
しゃがみ込み、手渡されたタブレットを受け取ると、そのぶつかった女の人はなぜか私の顔をじっと見つめている。
「さ、佐藤さん?」
連れだったのか彼女の隣にいた男性がそう声をかける。
「あなた、見たことない顔ね。ここの階の人?」
「いいえ、たまたま会議でこの階に」
「そうなのね。女性の方ってあんまり見ないからびっくりしちゃった。足止めしてごめんなさい」
「いいえ、では」
そう別れを告げてタブレットの電源を入れ壊れてないか確認して無事なことを確認すると駐車場へと向かう。
薄暗く物音が反響する地下駐車場でひときは目立つイエローカラーのコルベットC7に乗り込みエンジンをかけ暖房を付けた。
タブレットに来ていた新しい情報に目を通してはスクロールする。
そういえばあの階、あのネームプレートの人達、捜査一課強行犯三係の………昔松田くんのいた所の――――。
気付けば、意味もなくスクロールを繰り返していたことに気づき、仕事中だと自分に言い聞かせるとスクロールバーを一番最初に戻し再び目を通した。
「前科……さ、34…⁉」
驚異的な数字を前に思わず声を上げた。ずっと下まで犯罪履歴がぎっしりと続いている。
性別は男、顔写真はまだない。
初犯は26歳から現在の39歳に至るまでの間、殺人、暴行、強盗、性暴力、と続いておりキリがない。最恐の殺人鬼だ。
一刻も早く捕まえないと、こんなのが日本で暴れたら大変なことになる――。