【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
「盗んだバ~イクで走っりだす~」
「あの…宮下さん………」
「はい?」
「無線切れてないです」
「うそ」
季節は既に12月の中旬、マイナス気温の早朝の高速道路の上を走りながらノリノリで歌っていた所、突然イヤホンから風見さんからの無線が入ったかと思えばそんな衝撃の暴露に私はハンドルを持っていた左手で口を覆う。
親が昔聞いていた音楽って、なぜか異様によく覚えているのは世界共通だったりしないだろうか。
念のため、一番気になることを確認すれば聞いていたのは風見さんだけらしいが、なぜか少しだけ渋った理由を察し、無線越しから聞こえるジャケットの擦れる音を合図に歯を食いしばった。
「なにをやっている宮下…‼ あの派手なバイクはジンが把握している可能性が高いからやめろと言っただろう!」
おそらく隣で聞き耳を立てていたであろう降谷くんの大きな声がイヤホン越しに鼓膜に振動する。
あと誰がいつバイクに乗ってるなんて言った。
「私のバイクじゃないですぅ~お父さんのコルベットです~。私バイク乗ってるなんて一言も言ってません~! どっからそんな情報を得たんで……」
冗談半分で煽るようにそう言えば遠くからバンッ‼と何かを叩くような音が聞こえ思わず肩をすくめた。
無線の先で風見さんが「降谷さん落ち着いて…!」となだめるような声が聞こえ、自分で火に油をばら撒いておきながら、風見さんもとなだめて。という気持ちと同時に一生根に持たれるやつだ。と覚悟したのか無意識に少しだけ警視庁に向かう速度が下がる。
「……時間通りに来るんだろうな?」
「もちろん! もちろんです!」
明らかに圧を感じる質問にこれ以上怒らせるとまずいと思い反射的に返事を二回繰り返すと、左車線へ移動しようとしたウィンカーを取り消してアクセルを踏み込んだ。