第4章 誰のもの
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杏(今日も愛らしかったな!)
一足遅れてマンションに入った杏寿郎は口角を上げながら廊下を歩いていた。
藤川の事は気になったが、りんには既に他の男には隙を見せないようにと伝えてある。
杏寿郎は約束してくれたりんを信頼していた。
杏(不死川と伊黒に紹介した事により、りんさんが恋人なのだと改めて実感できた。)
そう思いながら鍵を開け、玄関に入ると立派な廊下を見つめた。
そして、ひとり暮らしには少し広い部屋なのだと今さら自覚した。
杏(ここに…彼女が住んでくれたらどんなに幸せだろうか。)
まだ付き合い始めて間もない恋人相手にそんな事を思った。
だが、この先別れる想像がつかない。
それ故に『それなら、彼女と結婚するのは自分なのだろう。』と思うのだ。