第4章 誰のもの
杏「そうか!」
杏寿郎はそう明るく言うとその話題を終わらせた。
杏「ではまた週末に会おう。」
「はい!」
りんはマンションの前で杏寿郎と微笑み合うと、名残惜しい気持ちに蓋をして手を振った。
杏寿郎は相変わらずエントランスに入るまで見送ってくれた。
(元気もらった。明日も頑張れちゃう。)
りんはそう思いながらエレベーターに乗り、緩む頬を軽く叩く。
(きっと今とっても隙だらけな顔をしてる。あんまり表に出ないように気を付けないと。)
ちらりと藤川の顔が浮かんだ。
(……気を付けないと。)