第4章 誰のもの
杏「今日も会えて良かった。君を見ていると楽しい。」
少し歩いて天元達が見えなくなった時、杏寿郎はりんを優しく見下ろしてそう言った。
その言葉にりんは耳を赤くする。
「……私も…会えてよかったです。」
杏「そうか!」
杏寿郎はそう明るく言うとりんの手をそっと握った。
その握り方に違和感を覚えたりんが首を傾げる。
(あれ…?なんだか慎重になってるような…。)
杏(うむ。やはり手は嫌じゃないようだな。)
杏寿郎はりんの表情を確認すると手を優しく握り直した。
杏「上司は明日いないと言っていたな。出張なのだろうか。」
「…はい。」
杏「そうか。どこに行っていつ帰ってくるのか聞いても良いか。口外しないと約束する。」
「…愛知に……、金曜は出社予定です…。」
それを聞いた杏寿郎は嬉しそうに少し口角を上げた。
予想より出張が長かったからだ。