第1章 出会い
天「おーい。」
二人を見送った天元は笑顔で男に手招きをする。
男「……?」
笑顔のはずの額には青筋が浮かんでいた。
女「天元くん?」
女「急にどうしたのー?」
天「お前らには関係ねーよ。」
天元はそう言うと近くに来た男の顔を流れるような動きで軽く殴った。
男「…ッ」
女「きゃあっ」
女「えっ、」
と言っても天元の "軽い" は常人で言う "強め" である。
男は地面に倒れ込むと目を見開いて天元を見上げた。
男「なにすッ」
天「聞こえてんだよバーカ。」
天元が耳打ちすると男はぐっと拳を握った。
男「だ、だからって殴ることねーだろ…。」
天「お前の基準で好き勝手言ってんじゃねぇよ。お前にとって軽口でも俺にとっては爆弾なの。二度と言うなよ。」
天元が男を殴った理由はりんを貶された怒り半分、自分の為半分であった。
天(……もういい加減こじらせは終わらせろよ。)