第2章 初めての彼氏は…、
(どうしよう…。今日知り合ったばかりなのにこれじゃ本当に…、)
「………そうでしたか。」
りんは蚊の鳴くような声で返事をすると、杏寿郎のマンションがある方をちらりと見た。
「天元くんとは…ただひたすら解散後の話をしていただけですよ。あと…、杏寿郎さんに電話かけるって言って切ってしまったので、たぶんそちらにメッセージいっちゃいます。ごめんなさい。」
そう言うと杏寿郎が『そうか!一向に構わないぞ!』と明るく返してくる。
りんは耳元でその聞き心地の良い声を聞く度に、耳が熱を持ってしまうのを感じていた。
(初めての彼氏が…、素敵すぎる…。)
瞑っていた目を薄く開いてぎゅっとクッションを抱きしめ直す。
そして、抱いた胸を焦がす感情を自覚した。
(今度きちんと天兄にお礼しよう。そして…、杏寿郎さんの事をとってもとっても大事にしよう。ずっと一緒にいられるように…。)
杏『りんさん?』
「はい!!」
元気の良い声に杏寿郎は笑い声を返した。
一方、自覚した直後の痴態にりんは頬を染めて目をぎゅっと瞑った。