第2章 初めての彼氏は…、
杏「君は不安になりやすいのだな。これもまた前進だ。この経験を活かしてより良い付き合いになるよう努めると約束する。」
『わ、私も…がんばります…!と言っても嫉妬させるような男性は周りにいませんが…。』
りんはそう言って笑ったが、杏寿郎はすでに上司に複雑な感情を抱いていた。
しかし、仕事に深く関わってしまう相手だ。
『距離を取ってくれ。』とは言えなかった。
杏「…うむ!我慢出来なくなったら言うとしよう!」
『……何をですか?』
杏「それより宇髄と何を話していたのか詳しく聞いてもいいだろうか!」
そう問うとりんは分かりやすく動揺した。
その様子を想像して微笑んだ杏寿郎は、胸の内に芽生えた淡い恋心を自覚した。
杏「…君は本当に愛らしいな。」
—
「…え、」
唐突にそう言われたりんは赤くなるとクッションをぎゅっと握った。
「そ、それ…、口癖ですか…?あんまり言っちゃだめだと思いますよ。たぶん…勘違いしてしまう人が、」
杏『幼かった頃の弟を除けば、君にしか言ったことがない。』
その言葉と共にりんはクッションに突っ伏した。