第2章 初めての彼氏は…、
杏(彼女はあしらうのが上手いはずだ。そういった相手の電話は取りもしないだろう。)
そうは思っても、自分を差し置いてりんの声を今まさに独り占めしている人物が気になって仕方ない。
杏(俺以外にも彼女の偽りに気が付いている男がいるのではないのか。あの嘘の笑顔は分かりやすいように見えた。本当の笑顔を見た男は何人いるのだろうか。職場の上司は彼女の事をきちんと秘書として見ているのだろうか。もし、)
杏「やめだ。」
出口の無い思考に飲まれそうになると杏寿郎はスマホをサイレントモードにし、寝室の充電ケーブルに繋げてリビングに戻った。
杏「本当に強欲になっているな。独り占めしたくなっている。このままでは嫌われてしまうぞ。」
———
「だから天兄の淫らな基準で言わないでよ!」
天『は!?普通だろ!!お前らがおかしいんだっつの!良い歳こいて手を繋いで電車で守ってもらった事を "進展" と呼ぶな!!』
そう言われたりんはカッと頬を熱くさせた。