第2章 初めての彼氏は…、
「………なんだ、天兄か…。」
りんは残念そうにぽつりと呟くと応答ボタンをタップした。
「もしも、」
天「おせーよ。上手くいったんなら俺にすぐ返事しろ。俺様のおかげだろ。」
りんは俺様発言に少しだけムッとしたが、すぐに肩の力を抜いた。
「…うん。ごめん。杏寿郎さん、とってもいい人だった。」
そんなりんの素直な言葉に天元は笑顔を浮かべた。
天「だろ。ずっと紹介してぇと思ってたんだけどよ、お前との仲が直るまではこういう話題は厳禁だと思ってこらえてたんだぜ。」
「確かに少し前だったら突っぱねてたかも…。」
そうして二人が話し始めた時、タイミング悪く杏寿郎がりんに電話をかけた。
杏「…通話中か。」
杏(当たり前だが、彼女には俺の知らない付き合いがある。もう一度声を聞きたかったが…仕方がない事だろう。)
そう言い聞かせるも、誰と何を話しているのか気になってしまった。
『言い寄られている男に捕まっているのでは。』という考えがちらりと脳裏をよぎると、スマホを裏返しにしてテーブルに置いた。