第2章 初めての彼氏は…、
(………。)
その安堵する胸に手を当ててゆっくり口を開く。
「…私、男性にここを教えた事なかったんです。あんまりいい男性が側に寄って来なかったっていうのもあるんですが…、まさか、こんなにするっと教えられる日が来るなんて…。」
そう言うと首を傾げて見下ろしていた杏寿郎を見上げる。
「杏寿郎さんみたいな素敵な人の恋人になれて嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願いします。」
杏寿郎はその言葉に眉尻を下げて嬉しそうに笑った。
杏「ああ!俺も嬉しく思っている!よろしく頼む!!」
そう改めて伝え合うと、杏寿郎はりんがエントランスに入るまで見送り、そして自身も自宅へと入っていったのだった。
———
(………早くも連絡したい。でもさっきまで一緒にいたんだし…。)
風呂上がりのりんは部屋着に身を包むとソファに体育座りをしてスマホを手に取った。
「私…、杏寿郎さんの事好きなのかな…。」
そうぽつりと呟いてみると、じわじわと頬が熱くなって隣にあったクッションを抱きしめた。