第9章 牽制
「あの時の煉獄杏寿郎さんとお付き合いしてるの。杏寿郎さんも恋人ができた事なくて、最初はそれがきっかけで、」
女「どんな人!?」
女「めっちゃイケメンですよ!!」
女「え!?写真見せてくださいーっ」
りんは身を乗り出す皆に苦笑いしながら水族館で撮った一枚を見せた。
すると、杏寿郎を初めて見た者はもちろん、一度見たはずの同期も杏寿郎の清く整った顔に固まる。
「その…、目立つ風貌ですよね。」
りんははにかみながら場を繋ぐようにそう言った。
女「……『イケメンで恋人できたことないなんて絶対に嘘だ』って思ったけど、これは…なんか納得できる…。」
女「たしかに…纏う空気が尊いです…。」
女「なんか合コンの時と違うー…。人数合わせじゃなかったんなら声掛けたのにぃ…。」
「食べるの大好きなんだって。お料理がおいしくて夢中になってたら天元くんに怒られたって笑ってた。」
女「うわ…しかも可愛さも兼ね備えてるのね…。」
そう言われると頬が緩みそうになる。
(だめ…ここでにこにこ笑ったら惚気になっちゃう…。)
りんは羨む皆を見ながら表情を懸命にコントロールしたのだった。