第9章 牽制
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女「………えっ!?」
女「ま、まさかー…ウソ…ですよね……?」
思い切ってつい最近までは恋人が一人もいなかった事を告白したりんは赤くなりながら俯いた。
「も、申し訳ございません。今まで騙してしまっていて…。」
女「いや…、別にそんな騙してたって程じゃ…、謝る必要はないよ。そうじゃなくて…、」
女「藤川部長は!?散々噂になってたじゃない!りんちゃん自身もその事知ってたでしょ?」
そう言った本人も、聞いていた皆も、りんの何とも言えない表情を見るとハッとして固まった。
りんはしつこく聞いてくる皆に噂を否定しなかったのだが、同じく一度も肯定した事がなかったのだ。
女「…………うわー…ドラマより面白い展開……。」
思わずりんの同期がそう呟くと先輩が窘める。
りんは同期に申し訳なさそうな笑顔を向け、先輩に小さく頭を下げた。
「ありがとうございます。でも…、自分でもおかしな事をしたと思っています。事情を知っていた従兄弟にも『その拗らせ直せ』って何回も言われてて…。」
女「あ!あのイケメンの!!って…、このタイミング…もしかして……、」
合コンに来ていたその同期はピンと来た顔をする。
りんはその表情を見ながら頷いた。