第9章 牽制
(……ううん、もうこの性格はバレても良いのかも…。それに杏寿郎さんの事も知ってもらえれば『とっても格好いい人と付き合ってる』って噂が流れて変な男の人も寄ってこないだろうし…。)
そう思うと手を顔から離し、口をきゅっと結んだ。
(うん、皆良い人達だし、私が男なら杏寿郎さんの彼女に手を出そうだなんて絶対思わないし!問題ない!!)
りんはそう考えを改めると頬をパンパンッと叩いてから戸を開けたのだった。
女「ねぇ…りんちゃん、今日雰囲気違くない…?」
女「私も思った!」
女「それがさぁ…今朝、決定的な顔を見ちゃって…、」
昼休憩に入ってすぐ、朝にりんの赤い顔を目撃した先輩は集まってきた同僚にその時の様子を話し、そしてりんをランチに誘った。
(あれ…いつもより多い……。)
そしてりんは戸惑いながらも頷き、その誘いに乗ったのだった。