第6章 一大イベント(part. 1)
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杏「うまい!!」
「美味しいですね。レンコンの火の通り具合いが完全にドストライクです。」
店員は十一人来るのかと思っていたらしく、一人で十人前平らげようとしている杏寿郎を見て目を丸くしていた。
杏「うまい!!」
「やっぱりお店の天ぷらは胃もたれしないな…。軽いですね。サクサクだ…。」
杏寿郎達は終始料理を褒めていたが一度も会話が噛み合わなかった。
杏「ご馳走様でした!!」
「ごちそうさまでした。」
二人は同時に食べ終わり、目を合わせるとにっこりと微笑みあった。
「美味しかったですね。当たりでした。」
杏「うむ!大学に入るまではここに住んでいたのだが初めて来た!君のおかげだな!!」
そんな会話をしながらお茶を飲み、少ししてから席を立つ。
(いよいよ…!)
杏「リラックスだぞ!いや、緊張してても愛らしいか…。どちらが良いのだろうな。」
杏寿郎はそんな事を言いながらりんが先に取った伝票を奪い取ってレジへ向かった。
「…ありがとうございます。」
りんは "貯金" という新たな決まりによって、比較的すんなりと奢ってもらえるようになっていた。
杏「うむ!!」
そして、そう返事をする杏寿郎の笑顔を見ながら『新しい口座作らなきゃな…。』と思ったのだった。