第6章 一大イベント(part. 1)
「天ぷら久し振りだな…。杏寿郎さん、朝の分も食べなきゃですね。」
杏「うむ!あらかじめ十一人前食べると伝えておいたので問題ないぞ!!」
「抜かりない…。」
それから二人は道中、杏寿郎の家族の話をした。
杏「近いうちに君のご家族にもお会いしたい。」
「……そうですね。」
りんはひとりっ子だ。
身近に兄のような天元がいた為、りん自身にはひとりっ子らしさがなかったが、親にとっては子は一人である。
しかし、だからと言って溺愛されているわけでもなかった。
それがりんの自信の無さにも繋がっている。
「私の両親は…少し厳しいかもしれません…。いえ、厳しいというより…無関心、なのかな…。冷めているというか…。なので時間を取ってくれるかどうか……。」
杏「…………………………。」
杏寿郎はすぐにりんの性格の原因を悟り、そして安心させるような笑顔を浮かべた。
杏「それでも会えるよう努力したい。だが、今日はこの話は置いておこう!今に集中!だな!!」
「ふふ。はい!」
杏寿郎の声は一瞬で空気を変える不思議な力がある。
りんはそれに何度も救われていた。