第6章 一大イベント(part. 1)
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「…うん!隠れました!」
りんは友人が忘れておいていったままになっていたコンシーラーを使い、杏寿郎の華を綺麗に消した。
そして自身のも消すと、一旦寝室に引っ込んで淡い水色のシャツワンピースを身に着けた。
そしておそるおそるドアを開け、背を向けてソファに座っている杏寿郎の肩を叩く。
「ど、どうでしょう…。ご両親に変に思われないでしょうか…。」
杏寿郎はりんの姿を大きな目でまじまじと見つめた。
杏(愛い。)
杏「愛い!!!」
全力の褒め言葉をもらったりんは両手の指を絡ませ、もじもじしながら眉尻を下げた。
「あの…、嬉しいのですが、今はご両親の反応の方が気になってて…、」
杏寿郎は立ち上がってりんに歩み寄るとぽんぽんと頭を優しく撫でる。