第5章 華
(……熱い体…。)
その体温が愛おしく感じてスリッと頬擦りをした。
すると——、
杏「ん"ッッ」
「………ん"?」
りんが首を傾げながら杏寿郎を見上げようとすると、それより先に杏寿郎がりんの肩を掴んで身を離した。
「どうし」
杏「そもそもの原因を解消していなかった!!君、胸の下着を身に着けていないだろう!!何とかならないか!!!」
それを聞いて初めて杏寿郎の暴走の理由を悟った。
「あ…、で、では昼に使っていたのを付けてきます。すみませんでした…。」
りんはそう言うとベッドから抜け出し、急いで寝室を出ていった。
(私が原因だったんだ…。もうちょっと思いやる心と先を見通す力があればあんな事には…。)
そんな事を思いながら脱衣所で下着を身に着け、胸に手を当てる。
(………。)
そして先程の大きな手の熱を思い出して赤面した。
(これからに備えてこちらに夜の下着を置かせてもらおうかな…。)