第5章 華
杏「りん…。」
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その表情が普段の清廉潔白な表情とあまりにも異なり、そして色気が強すぎて、りんは言葉を失った。
しかし、杏寿郎は眉を顰めてその表情を崩すと腰の動きを制御していった。
そしてようやく止めると小さく息をついた。
杏「……確かに抱いてはいないがアウトだな。」
そう冷静に評するとりんの上から退いて隣に横たわる。
杏「勝手に体に触れてすまなかった。またもや初めてを台無しにしてしまったな。」
「あ……いえ…、」
りんは胸を揉まれたことを思い出すと赤くなりながら腕を前に持ってきた。
杏「もう大丈夫だ。おいで。君を抱きしめて眠りたい。」
りんはそう言われると少し戸惑った後、おそるおそる近付いて杏寿郎の胸にくっついた。